photo credit: manuelbierbauer fis ski world cup sölden via photopin (license)
私は根っからのアルペンスキー選手でした。
ですので、スキースクールに通って1級を取ったというタイプでもないですし、技術選も当時まったく興味がなかったので、いわゆる「基礎スキー」というものを知りませんでした。テキトーに1級を監督に内緒で記念受験しに行ったら受かったというタイプの人間です。一方、当時受けた人達の中には10回以上1級に挑戦して不合格となり、号泣する大人の方もいました。
たぶん、アルペン選手出身者でも「1回受けに行ったらフツーに合格した」という人も多いはず。では、なぜアルペンスキー選手が簡単に1級に合格するのかという話を今回はしたいと思います。
そもそも基礎スキーって何?
基礎スキーとは何なのか?この独特の言葉に疑問を感じることもありますが、それは置いておいて、私なりの「スキーの基礎」を定義すると以下のようになります。
- スキーの基本が身に付いていること。
- どんな斜面でも滑れる技術があること。
- スピードがあっても安定した滑りができること。
この3つの要素があるかどうかだと思います。
当たり前の話ですが、スピードが上がればコントロールは難しくなりますし、W杯並みのテカテカのアイスバーンから春のザクザクした雪までどんな環境でも同じような滑りができることはスキーの最も基本だと思っています。
難しい専門用語を使う人にスキーが下手な人が多い理由
私は三浦豪太さんの考え方に同意しますが、以前日経新聞の記事を紹介したことがあります。(当時の新聞記事は下記のシフリンの記事にあります)
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スキーの本なんかを見るとよくあるのが、
1.新しい専門用語
2.難解な言葉(理論ばかりの文章)
をたまに見かけますが、スキーに限らず世の中のトップを走る人達というのは意外とシンプルだったりします。スキーでも同じで、本ばかり読んでもうまくならないです。なぜか?
答えは簡単。それは
「見て正確に真似るコピー技術があるかどうか」
です。
このことはタレントの武井壮さんが専修大学での特別授業の中でも語っているので、短期間でスポーツの能力が伸びる人の考え方も参考にしていただければと思います。ご存知の方も多いかと思いますが、彼は陸上10種から400mリレーの選手、その他様々なスポーツで成績を残す人物でもあります。何年経っても上手くならない人は練習の仕方よりも「考え方」から変えないと、たぶん何も変化しないと思います。
よく「上手い人を見ろ」と言われるのはこのせいで、特に子供達は映像を見て何でも真似しようとします。子供の成長が早いのはこのせいもあり、大人になると理論(頭)で考えようとするから上手くいかないことが非常に多いのです。
頭で考えることも人生において非常に大切なのですが、スポーツに関しては
考える2:実践する8
くらいの割合で、どんどん雪上で練習したほうがいいです。そして、滑りを録画し徐々にフォームを修正していくのです。これはアルペン選手がほぼ全員やっていることです。
なぜアルペンの選手が基礎スキー検定に受かってしまうのか?
さて、話を戻します。
アルペンスキーの選手が基礎スキー検定1級に合格してしまう理由はいろいろありますが、主な理由としては下記の通りです。
- 滑る回数が一般の人より圧倒的に多い。
- そもそもアルペンが基礎スキーだから。
- ゲレンデよりもポールの方がバリエーションの多いターンやコンディションで滑ることになるから。
2番はなんか業界の人に怒られそうな表現ですが、それだけアルペン競技にはスキーの基本が詰まっています。スピードを競うので、ミスも許されませんし、必然的に完成度の高い滑りを嫌でも意識しています。
また、アルペン選手はモーグルも結構意識してやるので不整地もかなり滑ります。大会では固いバーンの日もあれば、春のザクザクした雪もあります。
具体的な練習内容は下記の「スキーが上達する練習方法」を見ていただければわかるのでここでは割愛しますが、要はタイムを競うということはスピードも上がっていくわけですから、当然高い技術を習得していくことになるわけです。
そして気づいたら1級を余裕で受かるレベルになっていた。
こういったパターンの選手は非常に多いと思います。
技術選の上位100人の経歴を見ればいかにアルペン選手が多いかわかるかと思います。
アルペンスキーは基本技術の全て詰まっている。
アルペンをやっていると
- 外足に乗る
- 良いポジションに乗る
- ターンを自由自在にコントロールする
こういったことが要求されます。
また、ポールトレーニングもやり様々なターンを要求されるので、ゲレンデでは絶対習得できない技術を学ぶことができるわけです。しかもレーシングチームに入っているとコーチが常に1本1本の滑りを見てくれるので、ゲレンデで一人練習するよりも速く上達する環境が整っていると言えます。
もし、何年も1級が不合格ということで悩んでいるのであれば、1度アルペンスキーに挑戦してみはどうでしょうか。
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